概要
静嘉堂文庫に所蔵される国宝「風雨山水図(伝馬遠筆)」は、中国南宋時代に活躍した画家・馬遠(ばえん)の筆と伝えられる絹本墨画淡彩の山水画です。馬遠は宮廷画家として名高く、山水・人物・花鳥など幅広い分野で優れた作品を残し、日本の水墨画にも大きな影響を与えた画家として知られています。本図は、墨の濃淡を巧みに操り、風雨に揺れる木々や吹きつける雨、波立つ水面など、自然の動的な表情を緻密に描き出しています。淡い彩色を部分的に施す「墨画淡彩」の技法が用いられ、特に植物の緑色が画面に静かなアクセントを添えています。南宋画特有の抒情性と写実性が融合した本作は、後世の日本画家にも強い影響を与え、山水表現の典型として高く評価されています。1956年に国宝に指定され、現在は静嘉堂文庫美術館の展覧会で限られた機会に公開されています。
見所・特徴
「風雨山水図」の最大の見所は、風雨という一瞬の自然現象を、墨の濃淡と筆致のみで生き生きと表現している点です。画面には強風にしなる樹木、斜めに降りつける雨脚、波立つ水面などが描かれ、観る者はまるで嵐の中に立っているかのような臨場感を味わえます。馬遠派の特徴である大胆な構図と余白の巧みな扱いも顕著で、画面の一部に主題を寄せる「片隅構図」が、風雨の緊張感と空間の広がりを同時に生み出しています。また、淡い彩色をわずかに加えることで、墨一色では表現しきれない深みと自然の息づかいが感じられる点も魅力です。さらに、本作は馬遠の真筆か、あるいは後代の馬遠派による作かについて議論が続いており、その点も研究対象として興味深い特徴となっています。南宋画の精髄を示す本図は、静嘉堂文庫の名品の中でも特に人気が高く、公開のたびに多くの鑑賞者を魅了し続けています。
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